結果発表

第16回小説ショコラ新人賞にご応募いただき誠にありがとうございました。
厳正なる審査の結果、キラリ賞を二名選出いたしました。
次回もどうぞ奮ってご応募ください!


◆総評◆




今回、さまざまな設定の作品が集まりました。
その中で特に多く感じられたのが学生モノです。
誰もが一度は経験した学生時代ということで、設定に選びやすいことも一因かと思いますが、
なかなか評価に結びつくことはありません。

なぜなら主人公(パートナー)が学生というだけで、日常を書いて終わっていて、
ドキドキハラハラするような読者が心を動かされるエピソードがないことが多いためです。
結果、学生モノを選んだ理由や萌えが伝わってきません。
サラリーマンが会社に行って同僚と会話しているだけではつまらないのと同様に、
学校で友人と話して、好きな人と付き合って、という日常だけではお話として面白くありません。
学生でなければ書けないお話にすることが必要です。

また、お話を面白くする要素としてキャラの魅力も不可欠です。
評価シートで「キャラに魅力がない」「キャラを掘り下げて」と書かれる人は、
何の特徴もないキャラになっていることが多いです。
「普通」の人であっても、気が強かったり、引っ込み思案だったり、いつも前向きなど、
現実の人と同じように、それぞれの特徴を言動で表すことが必要です。

そして「設定」はあっても、その設定をキャラの言動に反映できていないケースもよく見られます。
キャラの紹介文に優しい性格と書いている、地の文で優しいと表記、
第三者が「優しい」と発言しているだけでは、実態がありません。
「優しいキャラとあるけど、その優しさがエピソードから全く分からないキャラだった」となります。
結果、説明とキャラクターに齟齬を感じさせ、感情移入してもらうことができません。

「いつもうるさいぐらいに注意していたのは、主人公が恥をかかないようにするためだった」
「見て見ぬ振りすることも出来たのに、絡まれて困っているのを助けてくれた」

など、「優しさ」にも種類があるように、そのキャラを深く表現するためにも、
キャラの設定に沿った台詞、行動をエピソードで見せることで、
主人公が恋するのも頷けるようにしてください。
これらがきちんと書けていれば、キャラの性格もきちんと定まりますので、ぜひ意識してみてください。

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今回、応募要項をきちんと守れていない方が目につきました。
慌てて応募せず、一度要項を見直してからご投函ください。

個別評価シートは年内発送予定となります。
ぜひそちらも参考にしてみてください。
今回で個別評価シートは終わりとなりますが、
たくさんの作品と出会えることを楽しみにしています。


◆受賞作品◆
【大賞】
該当者なし

【佳作】
該当者なし

【奨励賞】
該当者なし

【期待賞】
該当者なし

【キラリ賞】
江守結 「君と恋する留学生活」


キラリ賞 ──── 賞品5千円分図書カード
江守結「君と恋する留学生活」(原稿用紙 139枚)

◆あらすじ◆
カナダ留学をしている大学生の健人は、
諸事情からホストファーザーの甥っ子で教師のルーカスと共に暮らすことになる。
金髪碧眼で王子様のような見た目のルーカスだが、俺様なうえに仏頂面で健人には全く興味を示さない。
さらに家事を一切しないという自由すぎる性格に振り回される日々。
そんなある日、ルーカスから童貞なことを指摘された健人は
思わず自分が同性愛者だということを告白してしまう。
一緒に住むことを拒否されるかと思いきや、ルーカスは全く気にしておらず、
いけないことじゃないと言ってくれた。
ルーカスの優しい言葉に救われたその日から、絶対好きにならないと思っていた男を
だんだんと意識するようになってしまい…。


◆評価 B◆
癖もなく読みやすい文章です。各キャラクターの個性がしっかりと書かれており、
特に攻の俺様で傍若無人な最初の印象から、受を溺愛していくギャップが良かったです。
攻が自分の複雑な生い立ちを告白するシーンでは、攻のために受が泣いてしまうなど
受を好きになるきっかけもちゃんと書けていました。
ただ、攻が受を好きになっていく過程の出来事や、受への気持ちが変わっていく描写が
あっさりと書かれているので、受に対して優しくなっていく様子が急に感じました。
受視点であっても、攻の気持ちの変化は読み手には分かるよう詳しく書いてください。
作中全体に関しましては、恋愛以外の出来事が足りないように思いました。
今作のような設定でしたら、留学をする理由に家族関係のことがあって、お話を通して
その問題が解決するなど主人公の目標や目的などを作るとさらにお話に深みが増すと思います。


選外作品(B~E評価・以下順不同)


B評価
くりお「僕らのブルースター」/幸崎ぱれす「猫の瞳に映るもの」/辻宮円「愛の獣に従いなさい」
午後野つばな「隣の家」/真上瑞帆「愛されコンプレックス」/ひえん「仮面の向こう」
紅とんび「神巳成伝~大蛇山主の妻問い~」

C評価
須宮凛子「さっさと出ていけ」/高村「静波製作所第一寮にて」/真夜野ふみ「二度目のほうが甘いもの」
塩崎藍子「ココロはカラダの一部です」/田中ライコフ「へっぽこ魔王と運命の番」
富部美斗「ピンヒールな彼」/竹薗水脈「綺麗なお坊さんに求愛されています!」
草野乃衣「しょーもないけど大切な話」/さくや「秘密の関係」/むらうた「loving friend」
藤野花乃「二人が還る場所」/うさぎなゆま「月に恋したお日さま」/柚杏「甘い毒の寵愛」
相川葉月「マリッジリングの刻印は」/庭野「trick or love」
不破ぷりん「弁護士はポエティックな月によろめく」/村崎樹「運命から一番遠い恋」
椿ゆず「いとしのヤギせんせい」/胡桃一葉「蒼すぎた夏」/杼口沓佳「何事も捨て時があるようで」


D評価
純鈍「弔花のスパイス」/上坂彰弘「それはきっと一目惚れ」/佐藤彩紀「遅れて来た恋人」
水月螢「先生、こっちむいて」/笹川チエ「ふたりぼっちのしゅうまつに」
篠月由璃「夏、美しき花火は君の」/あきららら「そして灰色の日々に」/榎田朔「ただいまと言わせて」
梅之助「純情王子の傍迷惑な寵愛」/曖いつあき「夏影に君と揺蕩う」
笹野ことり「愛しいあの子が牙を剥く~年下アルファの執着愛~」
安堂チユ「午後5時、終礼のチャイムが鳴る」/雫石夏乃子「Roundabout Love~遠回りの恋~」
天野由比「君のことをあきらめない」/Maika:)「タイトルなし」/山田あんこ「春が芽吹く頃」
雫ゆる「鏡奇譚」/ハナマル「こんにちはフォルトゥーナ」/きつねこ「メキシカン」
守朝☆眞夜「華火の夜」/りょーちん「ライトオン」/天宮月都「星と太陽」
寒川凍「格好悪くても愛してる」/藤宮「愛を知らない僕たちは」
桐山撞稀「いつの間にか、恋」/大上りお「アメに想いを」/佐藤れん「明日、君がそばにいること」
秋山煌「炭酸とオレンジ」/木江たつみ「風は吹いている」/那月ヨモギ「DOLL HOUSE」

E評価
呉帯刀「双眸」/ミカヅキカゲリ「リヒャルドの白い襯衣」

規定外
七星天太「美しの森学園秘帖」/古岡考信「マトリューシカ」/古岡考信「ロマン・ビック・ハウス」
ペンネームなし「兄さんの愛と私の理想」/長澤幹「番長先生の小さな駅」


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