結果発表

第9回小説ショコラ新人賞にご応募いただき誠にありがとうございました。
厳正なる審査の結果、期待賞二名、キラリ賞一名を選出いたしました。
期待賞を受賞しました2作品を10月上旬にショコラ公式HP上に掲載いたしますので、
ぜひ今後の参考にしてください。
次回も入賞者がでることを期待しております。奮ってご応募ください!


◆受賞作品◆
【大賞】
該当者なし

【佳作】
該当者なし

【奨励賞】
該当者なし

【期待賞】
「春より早く」 間 凛子
「はじまりは恋→奴隷でした」 紀里雨 紗

【キラリ賞】
「甘くとろける恋の罠」 アズ


◆書評◆



総評



今回、全体的にレベルが底上げされたように思いました。
設定としては現代もの、特に学生を主人公にした作品が多く寄せられました。
現代ものに限りませんが、似たような設定が集まる中ではキャラ・ストーリーなど、
恋愛模様への萌えをいかに落とし込めるかが評価の分かれ目となります。
その中で、改めて感じたのがラブシーンに対する情熱のなさです。

弊社刊行作品からも分かるかと思いますが、ラブシーンは必須となります。
恋愛をしていれば構わないという考えからか、
ページに余裕があってもラブシーンが0回という作品もありますが、最低1回は入れましょう。
朝チュンでの描写もラブシーンには数えませんので、気を付けてください。
もちろん意味のないラブシーンは不要です。
ここぞというところで入れてください。
時折、流れ作業・テンプレ化してしまったようなケースも見受けられますが、
どんなに完成度の高い作品でも、ラブシーンが楽しくなければ
一気に盛り下がってしまいますので、気を抜かないようにしてください。

ラブシーンは喘ぎ声の表現1つで印象が変わります。
色気のなさを評価用紙で指摘された方は、
たくさんの作品を読んで知識量を増やすことから始めてみてください。
そして自身が色気を感じた表現・構成を参考に自作品を執筆しましょう。
ラブシーンは魅力的な作品には絶対に欠かせない要素なので、
是非より良い表現を模索し続けてください。

***

今回、編集部より皆様にお願いがあります。
応募いただく原稿の中に、フォントサイズがとても小さかったり、字間が開き過ぎている場合があります。
皆様自身が読みやすいと感じるような大きさ、字間、行間にして頂ければと思います。
特に1Pに1段組の方は余白が広くても構いませんので、中央に文字を寄せてください。
評価には影響しませんが、考慮いただけると大変助かります。

次回のご応募も、楽しみにお待ちしております。


期待賞 ──── 賞金1万円
「春より早く」 間 凛子

◆あらすじ◆
頭が良く恋人も途切れたことのない高校三年生の春樹は、完璧だという自負があった。
だが友人たちとの会話中に突然「思いやりがない」と、
クラスメイトの石和に吐き捨てるように言われる。
それ以来、春樹は石和につきまとうようになるが、
石和は春樹が「石和に勝っていると確かめるため」だと察していた。
情報を提供するメリットはあるのか問われ答えに窮する春樹に、石和は突然キスをした。
石和は春樹を好きなのだろう。
そう確信した春樹は、告白させて振る計画を立て石和にデートを持ちかけるものの、
気づけば「デートしたいです」と言わされていて……。

◆評価 B◆
しっかりとした文体で丁寧に心情が描写されており、最後まで読みやすい文章でした。
勉強にも恋愛にも苦労したことのない受と、無愛想で何を考えているかわからない攻。
まったく違う性格の二人が、互いの印象を変えていく過程が自然で情景が目に浮かびます。
ただ攻の発言が納得できず、つきまとうようになるのは良いのですが、
受の言動に悪意が感じられず説明とのズレを覚えました。
また最初にキスする流れが強引で、
無理やりされたのに平然と居続ける受の行動にも疑問が残りました。
何より残念だったのが、攻が学校へ来なくなる展開です。
攻が空気となってしまい、高まりつつあった恋愛感が一気に霧散してしまいました。
好意が恋に変わる瞬間、受が恋を自覚してからのやりとりや、
攻が受を好きになったきっかけなど、恋愛の過程が読みたかったです。


「はじまりは恋→奴隷でした」 紀里雨 紗

◆あらすじ◆
時は昭和十一年。
憧れの第壱高等学校に入学した三吉亜生が寮で同室になったのは、
眉目秀麗、品行方正な壱高始まって以来の秀才・志瑞麟一郎だった。
しかし実は志瑞は口も意地も悪い恐るべき二面性を持った男で、
亜生は部屋で二人きりになった途端、「おまえは奴隷だ」と言い渡されてしまう。
志瑞に罵られこきつかわれながらも持ち前の明るさで学生生活を楽しんでいた亜生は、
ある日瀕死の子猫を拾う。
怒り狂うかと思われた志瑞は意外にも子猫を助けてくれ、
亜生は彼に対し今までとは違う不思議な思いを抱くようになるが……。

◆評価 B◆
展開に目新しさはありませんが、受にとっての攻が恐ろしい先輩から
恋しい相手へと変化する様が丁寧に書かれ、結末まできれいにまとまっています。
しかしエピソードの多さのためか、全ての出来事が均等に駆け足で進み、
重要な場面とそうでない場面のメリハリがなく、盛り上がり不足です。
簡単に流せる箇所は流し、女郎の件や志瑞の大守に対する嫉妬を書き込んで、
片想いと失恋の切なさや、すれ違いの面白さを演出してほしかったです。
キャラクターは背景を含めた個性・魅力がしっかり作られ、それぞれの良さを出せています。
特に亜生の芯の通った前向きさ、潔さが光っていました。
志瑞は「二重人格」ぶりがやや甘いので、最初はもっと毒があった方が
後に見せる優しさとのギャップが際立ってよかったと思います。


キラリ賞 ──── 賞品5千円分図書カード
「甘くとろける恋の罠」 アズ

◆あらすじ◆
フリーターでオタクでネト充の高山北斗は、
ネットゲームで知り合った女子高生との待ち合わせをすっぽかされ、
代わりに明らかにリア充なチャラい色男・山王に声をかけられる。
リア充が大の苦手な高山は当然断ったが、強引に連れ回されているうちに、
辛辣だが意外にいい奴な山王に惹かれていく。
そしてその夜、高山は泥酔した勢いで山王に抱かれてしまった。
目を覚ますと山王は消えていて、高山が祖父から貰った高級腕時計も消えていた。
カモにされたのだと気づいた高山は、自分を変えようと今までの生活から足を洗うが……。

◆評価 B◆
文章自体にいい意味で癖があり、なんということのない場面も楽しく読めました。
キャラも個性があり、甘ったれのダメ人間かと思いきや真面目で優しい高山、
口も態度も悪いチャラ男ながら以外に健気で一途な山王、
どちらも長所・短所をうまく書けていて魅力がありました。
高山を落として立ち直らせてまた落として、というメリハリの利いた展開もいいです。
しかし残念ながら色々と進行が早すぎ、あっけない印象。
出会ったその日に山王を好きになっているのが高山の性格からすると急ですし、
キーになるラブホでもすれ違いは都合が良すぎる感があり、
ラストはいきなり終わっていて余韻が足りません。
制限枚数をフルに使って、書き込んでほしかったです。


選外作品(B~D評価・以下順不同)


B評価
江成ゆう「オールグリーン」/春咲紅梅「旅の恥、かき集めたらなんになる?」/
喜多島自由「ロボットのお医者さん」/倉田真迂「戀ごころ」/亜筒まあ「鵺のさえずり」/
今立皐月「ひだまり」/来栖みさ「真空恋愛」/深瀬ゆうき「駅長室のハニイ」

C評価
瀬戸 柳「二度目の愛をあなたに」/結城まこも「消えた悪魔が残したもの」/
宝生まつこ「好きって言わなきゃ逃げちゃうよ?」/片山おかゆ「なにかとくべつあまいもの」/
花巻さわ「赤い花が咲くまで待っていて」/中村梨乃「犬地図」/坂本みゆ「セピアで思い出す」/
宗川倫子「運命の人じゃない?」/楠木理央「カーネーション」/大和「空と地の間に浮かぶ月」/
未折屋「君の声、夕陽の音」/小林千夏「先生たちの放課後」/十織愛深「きらきら、ずっと」/
なぎこ「Alice & Beast」/上知哉春間「そのサイダーの泡は消えない」/押川遥「光陰の欠片」/
壱井まよ「鈍感君の番犬」/井上魔子「混ぜるな危険」/有利亜裕子「復讐のシロツメクサ」/
一色とりこ「楽園でしかない」/犬竹将太「愛の呪縛」/北 ミチノ「どんぶりいっぱいの愛を」/
あきのふゆみ子「消えないバグ」/暮野 逢「炎の約束」/わとう栄花「fairy game」/
浪樹 栞「声優の王子様」/可賀レトラ「飛べない鳥は飛んでいく」/緒方 慧「お星さま、ありがとう」/
橋本龍弥「軍人なんか大嫌い!」/アズ「恋はいつでも面倒くさい」/布袋 愛「ろくでなしの泉」/
相川空良「イミテーション」

D評価
沙須大賀「捨て猫はいやされない」/桜「予期せぬ出会い」/松藤「瓦礫の悪魔」/
ツヅキキヅキ「白い春」/たいらまき「はじめてのウラギリ」/わとう栄花「現より奇なり」/
宮本シュウ「エブリデイ イズ ア ニューデイ」/鈴木アンナ「キラキラ」/
海本久美子「恋の痛み、愛の優しさ」/未折屋「彼方の白を見つけて」/
黒雪 蝶「つがいのトリカゴ」/片江しえる「すれ違いの恋の結末」/
鳥井優希「堕天使はトンネルの中で春を待つ」/矢島知果「やさしいキスと、ぬくもりと」/
広瀬 遼「心友厄介、愛情最高」/秋野 森「この声を聴いてくれ」/
輝日充子「絶世探偵は瞳(ヘーゼルアイズ)に奪われる」/高遠希夾「闇に揺れる水晶」/
ミズタカケイ「緑の箱の中」/藤尾あのこ「椿屋の一輪」/野上あや「小犬の恋愛はままならない」/
みよこ「この恋はエメラルド」/山下竹子「大輪の花」/四葉 夕「形がなくても」



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